ミオのイチゴ・いちえ

人生は一期一会、一世紀の4分の3を生きて思うことを書いてみようと思いました。

幸せな国デンマークって、どんな国・その1 映画「エイプリル ソルジャーズ ナチス北欧大侵略」

その1 映画「エイプリル ソルジャーズ ナチス北欧大侵略」

 知人が紹介してくれたデンマーク映画「エイプリルソルジャーズ ナチス北欧大侵略」をYouTubeで見た。何だか未知の国の初めてのスナック菓子袋を、食べてみてごらん、と渡されて恐る恐るかじったところ、何この味!変な味、なんかへん、と手を引っ込めたものの、気になってもう一度手を袋に突っ込んで口に運ぶ。だがそのうち慣れてきて、こういう味もあるんだ、と妙に納得しながら気がつくと袋の中は空っぽになっていた、そんな映画鑑賞の感想だった。

じゃー、もうひとふくろ、どう?といわれたら、うーん、もういいかな、というだろうと思うけど。

この映画をきっかけに、デンマークってどんな国民?どんな思考をする人たち?と興味がわいてきた。なので結構な日数をかけて調べ、(今も継続中だが)知らなかった未知の国デンマークがぐっと私に迫ってきた。あるいは知らなかったのは私だけかもしれないが、一応自分なりに納得したものを書いてみたいという気持ちがむくむくと起こりブログを始めた次第だ。

まだまだ知りたくてデンマークに関しての本を数冊図書館で予約中、なにせ小さな市の故、在庫がなく…、待ちきれなくてアマゾンで注文をし、それらを読めばもっとデンマークのことが好きになるに違いない、そんな予感がする。

ちなみに実存主義の先駆者である哲学者キルケゴールデンマーク人だと知った。あとアンデルセンデンマーク人。児童文学のノーベル賞といわれる国際アンデルセン賞がある。1994年にはまど・みちおさん、2014年「精霊の守り人シリーズ」等の作家上橋菜穂子さん、2018年「魔女の宅急便」等の作家角野栄子さんが受賞している。私は上橋菜穂子さんの守り人シリーズの大ファンだ。魔女宅をはじめ宮崎駿アニメは親子孫三代で見ている。

映画は実際1940年4月9日早朝、ドイツナチス軍はデンマークノルウェーに突如侵攻した「ヴェーザー演習作戦」の実話。ドイツ軍の目的はノルウェーにあり、デンマークは途上の足場の役割、全く問題視していない。戦争映画を作るとしたら、英国に亡命政府まで作り果敢に戦ったノルウェーを描いたほうがおもしろいだろうに、と思うけど、これはデンマークの手によって作られているから、舞台はデンマークということは当然のこと。  

装甲車、戦車、歩兵隊が国境を突破してくるのに、迎え撃つ国境守備隊はバイク隊と自転車部隊、まことに手薄でお粗末だ。援軍が来る、というのを頼りにとにかく戦うしかない。しかし、デンマーク政府は勝ち目がない戦はしないという方針かどうか、国境突破から約数時間余りで条件付きの降伏。正確には5時30分国境付近での戦闘開始から8時32分に条件付き降伏をしている。そのことは前線にいた自転車部隊には無線が入らず連絡されていない。最後の一発の銃弾がドイツ軍の装甲車をちらっとかすめ、少尉は、「終わりだ!」といって手を挙げて降伏する。彼らを引き取ったドイツ軍の少佐が、「なぜ戦ったのか?2時間前にデンマーク国王は降伏したのに」とつぶやくように聞く。デンマークの少尉は「知らなかった」と首を横に振るのみだ。それで映画はあっけなく終わり。

早々の降伏のおかげでナチスドイツはデンマークには寛容で、戦争半ばぐらいまではナチスの徹底した支配下に置かれずに済んだことは、ホッとする。英国、皮肉屋のチャーチル首相は、『ヒットラーカナリア』とデンマークのことを揶揄している。

映画のシーンに、農家に隠れてしばらく体制を整えるシーンがある。農家の老婦人が、「ドイツ軍が通過するまで納屋に隠れたらどう?若い兵士の手が震えてるじゃないの」という申し出に、少尉は「自分たちはデンマークの国を守る義務がある」と答えるが、老婦人は、「20年前はここはドイツの領土だったの。生きてさえいればいいじゃない」という。しかし、少尉は無言。しばらく間を置き、部下の兵士たちに「行くぞ」と声をかける。それを戸口まで出て見送る老婦人。また後退する途中の休憩の時、少尉が一番若い兵士に、「恋人はいるか?」と尋ねる。うなずく彼に「必ずこの夏には君のフィアンセとデートできるようにしてあげるよ」という。トラックで後退するシーンでは、運転する兵士が、「もし兵隊に入っていなかったら自分は妻を得て、たくさん子供を持ち、食料品店でも営むのが望みだった。平凡な生活が一番です」と少尉に答える。運転した兵士は戦死するが、捕虜になった少尉以下これらの兵士たちが短期間で釈放され故郷に帰還できただろう、と思わせたのはホッとする。

 負け戦とわかっていても捕虜になるという選択を屈辱的と考える日本人。最後の一発の銃弾を特攻精神で相手を倒して自らも散る道を選ぶ日本人。なぜ?デンマーク人はこうもあっけなく?と思うのはわたしだけだろうか・・・。(つづく)

 

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デンマーク自転車小部隊



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ナチスドイツ装甲車部隊